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SHIROBAKOみゃーもりに学ぶ、ドラッカーの言うところの「真摯さ」とは

SHIROBAKO最高ですね

突然ですが、2015年度の私的最高アニメはSHIROBAKOに決定しました。
2015年度どころか、これまで観たアニメの中でも最高かもしれません。

年始からBSフジで再放送始まったり、MXで一挙放送してたりして、たぶん世の中的にも最高アニメの認識なんだと思います。

http://news.shirobako-anime.com/tokubetu.html

年末にはSHIROBAKOアドベントカレンダーとかいうものまであったらしいですよ。
プログラマーとかIT界隈に人気なのもSHIROBAKOの魅力ですね。
僕は気付いたのがクリスマス後だったので、年末休暇にまとめて読みましたが。

そして個人的にはこのslideがとても好きです。

みゃーもりの仕事内容ってあんまり専門的じゃないから、正直優秀さを描くのって難しいと思うんですよ。
絵描きなら「早くて上手い」で優秀だし、プログラマーなら「早くてバグが無い」とか「大手のサイトにハッキングする」とかでわかりやすく優秀なんですが、みゃーもりみたいな、「人に動いてもらう仕事」っていうのは、何をもって優秀とするのかが難しい。
ただそんな中でもSHIROBAKO観たら「みゃーもり優秀すぎる」って思うから、それをちゃんと表現した製作陣はすごいと思うし、それをちゃんと言語化してある上記のslideはとても良いです。

ただ個人的に、みゃーもりの優秀さの根底は「真摯さ」だと思うんですね。
個々の要素としてはポジティブシンキングとか自責化とか色々あると思うんですが、根底は「真摯さ」。

(マネジャーには)根本的な素質が必要である。真摯さである。

上記は数年前に流行ったドラッカーの『マネジメント』からの引用ですが、マネジメントする上で最も重要なものは真摯さであると書かれています。
といってもこの「真摯さ」っていうのが曖昧でよくわからない単語で、個人的には「ちゃんとする」くらいの意味で自分の中では理解していたんですが、SHIROBAKO観ると言語化の部分を超えて、「真摯さ」とは何なのかが、ちょっとわかったような気がするんです。
みゃーもりのやってることってIT業界で言えばPMみたいなもので、そのものずばりマネジメントですし。

というわけで、以下に僕が「みゃーもりの真摯さ」を感じた場面を紹介していきます。

みゃーもりの真摯さ

・2話「あるぴんはいます!」

瀬川さんが熱で倒れて、作監を遠藤さんに頼むところ。
直球でたたみかけるセリフとこのカットだけで真剣さが伝わってくる。
もともと瀬川さんが倒れたのはタローの尻拭いを瀬川さんにお願いしたからなわけだけど、それを他責にせずに、また自分の担当話数のためではなく「作品を良いものにしたい」、「瀬川さんのためにも」みたいな想いが伝わってきます。このカット好き。

・6話「イデポン宮森 発動編」

ドラッカー曰く「真摯さ」は素質だから、後付けするのは難しいものだと思われ。
そういう意味では、「みゃーもりは持ってるよね、飴と鞭。それは誰もが持っているわけじゃないから」という矢野パイセンの言葉と照らし合わせて、この「飴と鞭」っていうのは結構「真摯さ」を構成する要素のひとつなんじゃないかなと思います。
なんか「飴と鞭」っていうと、人をコントロールするためのテクニカルな話のような気もするんですが、ここで言ってるのはそういうのではない。
うまく言語化できないんですが、「飴と鞭」が「真摯さ」に繋がるっていうのは、たぶんSHIROBAKO観ないと考えつかなかっただろうなと思います。

・8話「責めてるんじゃないからね」

お姉さんが東京に遊びにきて、帰っていく直前のひとこま。
家族の繋がり的なものも勿論あるんだろうけど、お姉さんも色々抱えてたってことと、それをちゃんと理解してるみゃーもり。
仕事の話じゃないけど、普段から相手の気持ち考えてるんだなぁっていうのが伝わってきます。
仕事といっても制作進行みたいなのだと、個人の人柄も相当重要だよなぁと思うんですよね。
普段の生活で真摯さに欠ける人は、たぶん仕事の時だけ真摯にはなれないんじゃないかと。
「あの人普段はダメ人間だけど、仕事になると良い仕事する」みたいなプロフェッショナルも中にはいると思うんですが、ことマネジメントという領域に関して言えば、そういう人ってかなり稀な気がします。

・11話「原画売りの少女」

空いてる原画マンさんを探してて、矢野パイセンに「レベルの低い原画マンを入れたら誰に迷惑がかかるのか」と訊かれた際、みゃーもりは「作監さん、演出さん、・・・」と、自分以外の人から先に出てくる。
最終的には自分に跳ね返ってくるのに、迷惑をかけてしまう先の人として、自分以外の人間ばかりが出てくるのもみゃーもりの人柄だよなぁと思います。
それにしても矢野パイセンのチョップ最高だな。

・12話「えくそだす・クリスマス」

1期のラスト。
杉江さんに馬100頭のシーンの原画を頼んだ後のシーン。
杉江さんに頼むことになった経緯自体は菅野さんの助言だったけど、経緯はさておき、プロにプロとしての価値を存分に発揮してもらうことがマネジメントなわけで、これこそがマネジメントの仕事だよなぁと。
そして仕事を振ってもらったことに対して杉江さんから感謝されてて、お互いに感謝し合っている。
「誰でもいいから原画マン欲しい」っていう形で人をとっちゃうと、こうはならない。

・17話「私どこにいるんでしょうか・・・」

みゃーもりが先輩になって、新人制作の失敗に「どんまい」ってするシーン。
言葉で伝えるだけじゃなくて、ちゃんとお弁当買ってあげてるところがほんとすごい。
自分だって全然余裕ないはずなのに、後輩のフォローしながらちゃんと指導もしてて有能すぎます。
初見の時本気で「マジかこいつすごすぎる」と思いました。

・21話「クオリティを人質にすんな」

平岡くんが瀬川さんにぶち切れされて、担当下ろされそうになっているところで説得するみゃーもり。
ここ個人的にものすごく好きなシーンです。
使えない人を切るだけがマネジメントじゃないし、こういうところで平岡を信じて指示できるところがみゃーもりのすごさ。
だからこそ平岡も素直に聞き入れることができたんだろうなぁ。


以上。
真摯さを言語化することはできていないのですが、ホントにSHIROBAKO観たことでドラッカーの言いたいことがちょっとだけわかったような気がしてます。
SHIROBAKOすごいよ。その辺のビジネス書よりも良いよ。

終。