【読書感想文】不格好経営
ちょっと旬を過ぎた感もありますが、DeNA南場さんの「不格好経営」を読みました。
いやぁ、面白かった。
ビジネス書ではなくノンフィクション。
DeNAの創業から今に至るまでや、その間の南場さんのプライベートな話までが、
詳細に、かつ軽妙に語られています。
「ソースコードが締切日に1行もなかった事件」は特に面白かったし、
「切り刻んじゃまずいでしょ・・・それはまずいでしょ・・・」とかの語り口では思わず笑ってしまいました。
ビジネス書ではないので特に何かを習得するために読んだわけではありませんが、
いくつか印象に残ったフレーズがあったので、個人的に心に留める意味でも、簡単にまとめておこうと思います。
unlearning
learning(学習)の否定語。つまり、学習消去、みたいなイメージ。
南場さんがコンサルタント時代に得た知識や経験が、
経営者としてやっていく上では役に立たないどころか逆に邪魔になる、ということで、
一度習得したものを意識的に自分の中から消す必要があったということだと思います。
バイアスを無くすためとはいえ、一度得たものを消し去るのはかなり勇気のいることですが、
南場さんのように職種が変わった場合だけでなく、
単純に何かブレイクスルーを起こす必要がある時にも必要なことだと思いました。
「天才が3人いたら1ヶ月でできる」
上述した「ソースコードが締切日に1行もなかった事件」の時に、
パニクっていた南場さんに旦那さんが言った一言。
プログラミングはわかりやすく人月の単位で見積もられますが、
本来は個人の能力によってアウトプットに圧倒的な差がある仕事なんですよね。
立ち直り方を魅せる
何か大きな失敗をした時、そこで落ち込むのではなく、また、何としても立ち直る!でもなく、
その立ち直り方を魅せてやろう、というフレーズ。
「転んだらタダでは起きない」に留まらず、起き上がるときにさらに一石二鳥を狙うという、
めちゃくちゃ負けず嫌いな考え方です。
決め手は「気合い」
DeNAが出会い系として非難され、それを解決するために監視体制を設け、
圧倒的なまでに出会い系を撲滅させることに成功した際に、
「秘訣はなんですか?」とインタビュアーに訊かれて答えた一言。
Fate/Zeroというアニメが放送された際、その圧倒的な作画レベルが話題になり、
「毎週放送のアニメであれだけの作画レベルを達成する秘訣は?」と訊かれた際にも、担当者は
「寝ないことです」
と答えていましたが、問題解決の手段として、気合いや根性は実際かなり有効なのだと思います。
選んだ選択肢を正しくする
何か決断をする時、正しい選択をすることはもちろん大事ですが、
それと同じくらい大事なのが「選んだ選択肢を正しくすること」だと言っています。
自分が決断する立場にある以上、これと決めたらあとは振り向かず、成功へ向けて邁進する。
あとから「やっぱりこっちじゃなくてあっちの選択をするべきだったかな・・・」とか言うと、
意思決定者の逃げになるし、何よりメンバーがついてこない。
周りから何を言われようと必ず成功させ、
「ほら見ろ、やっぱり俺は正しかった」
といってみせるくらいの気概が必要なのでしょうね。
人が育たないリスクはとらない
DeNAで働く人たちの成長の秘訣は「任せる」ことにつきると言っています。
プロジェクトが失敗するリスクはとっても、人が成長しないリスクはとらない、とも言っています。
DeNAにとって最大のリスクはプロジェクトの失敗ではなく、社員が成長しないこと。
社会やお金ではなく、何よりも一番に社員のことを考えている会社だということがよく分かるフレーズだと思います。
他にもいくつか印象的なフレーズはあったのですが、
(「成長だなんだという余裕がないくらい仕事をしてる方が成長する」、「素直だけど頑固」など)
とりあえず記事としてはこのくらいにしておきます。
2~3時間でさくっと読めるし、単純に読み物として面白いので、
よかったら読んでみてください。