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2015年上半期に読んだ本まとめ

この前上半期に観た映画をまとめましたが、今回はせっかくだから読んだ本もまとめときます。
小説(ラノベ含む)とビジネス書籍の混合です。
ただし僕は別に読書家ではないので、そんなにたくさん読んでるわけではありません。あしからず。

レインツリーの国

個人的評価:★★★★

メッセージがシンプルで、文体も読みやすく、かつ面白かったです。
これについては詳細な感想を以前の記事に書いているので、ここではリンクを貼るに留めておきます。
よろしければどうぞ。

【読書感想文】『レインツリーの国』を読みました - 16bit!

戯言シリーズ

個人的評価:★★★

ラノベです。
ビックリするくらい主義主張やメッセージが無い(良い意味で中身が無い)ので、9冊立て続けに読んでも自分の価値観や思想には何の影響もありませんでした。驚くべきことです。
ちなみに西尾維新を読んだのはこれが初めてでしたが、独特の文体はさすがだなと思いました。ああいうのって違う言語に翻訳する時に困るよなぁと。翻訳されたコーランを読んでも本家の文章の美しさを感じられないから、本当に読んだとは言えない、みたいな。ラノベの例えにコーラン使うのも恐れ多いですが。

十二対戦

個人的評価:★★

上半期に西尾維新ばっかり読んでたのは、友人が次々に貸してくれたからです。これは十二支をモチーフにした殺し屋たちがバトルロワイヤルする話で、こちらも案の定中身は無いというか、無いです。ただやっぱ「うまく作ったなぁ」という感じはあって、十二支の後ろから順番(要するに干支決めレースの最下位から順番)に敗退していくし、最後は鼠が勝つのも戦略勝ちみたいな感じだし。
それにしても西尾維新って中身のある話は書かないのか? アニメ観た感じだと少なくとも物語シリーズには中身がありそうなんだけど、本家小説には無いのかな? 機会があれば読んでみたいです。ただし次に読みたいラノベは「なれる!SE」。完結してないから手を出しづらいですが、完結してくれたら買おうと思います。

LOVE・MUSIC

個人的評価:★★★★

古川日出男さんの小説2冊。めちゃくちゃ面白いんですが、ストーリーらしいストーリーというものが無いので、あらすじの説明が全く出来ないのが困るところ。
『LOVE』は「猫を数える話」としか説明できないし、『MUSIC』は「猫の生命力」としか説明できない。
特筆すべきはその独特な文体で、一言で言うとものすごくリズム感がある。本を読んでるだけなのに気付いたら爪先でリズム取ってたので、この文章は正直すごいと思います。
以下に適当なページから数文を引用しますが、だいたいこんな感じ。

ついに残り時間は二時間を切る。
助走は終了。だとしたら。もう飛ぶしかないね。なにしろ、秘密がいっぱいだ。東京の三月のとある春の、こんな小さな区画に、たった七時間の物語のなかに、こんなにも。そして僕たち六人は、それぞれの秘密主義を遵守したままで動き出す。いよいよ、ドバッて。音速で。僕はそんなふうに語る約束を、してたからね。
さて飛ぼう。

いま。いま。現在<いま>しかない。秋。それから美余の足がもっと下方とつながる。走る美余の足が、何かと。走りながら美余は問う、これってなに? 美余は聞いてみる、大地? そう、大地。そこに鳴り響いている。美余の全身、一本の搏動<ビート>と化した肉体と共鳴するものが。これだ、と美余は思う。あたしの本能が求めていたのは、結局のところ、音楽。これ。この瞬間に美余はわかるからわかる。聞こえるから聞こえる。説明なんてできないよ、と思う。

このリズム感、良いなぁ。

夜の床屋

個人的評価:★★

短編集と見せかけて、実は全部が繋がってる、みたいな話でした。
ただしラストのどんでん返し(?)はミステリというにはちょっと無理矢理感がありますので、ミステリとして読みたいならあんまりおすすめできません。
まぁでも個人的には、こういう「日常系ミステリだと思っていたらいつのまにかファンタジーになってた」みたいなのもアリはアリだなと思います。
全容を解明したと思っていたことが実は全然足りてなくて、間違ってはいないけれども表面しか見えてなくて、世の中には自分が知らない不思議なこともたくさんあって、それらが実は一本の線で繋がっていたとしたら、それは可能性だけであっても、当事者にとっては世界の見え方が変わる最高の体験だろうなと思います。
何言ってるのか良くわかりませんが、「そうきたか!うおー!」みたいなのではなく、「え?そんなのあり得ないでしょ。おかしいでしょ。…でもまぁ、あり得たとしたら世界は面白いね」みたいなことを思いました。

How Google Works

個人的評価:★★★★

Googleにおけるマネジメント手法がメインの内容でしたが、具体的なエピソードもたくさん掲載されていて、とても面白かったです。
ただこれも以前に感想を記事にまとめているので、ここではリンクを貼っておくだけにします。

【読書感想文】How Google Works を読んだ その1 - 16bit!
【読書感想文】How Google Works を読んだ その2 - 16bit!
【読書感想文】How Google Works を読んだ その3 - 16bit!
【読書感想文】How Google Works を読んだ その4 - 16bit!

人工知能は人間を超えるか

個人的評価:★★★★

人工知能の現在・過去・ちょっと先の未来」がものすごく分かりやすくまとめられている本でした。
著者が人工知能、つまりは「学ぶとはどういうことか」を研究しているだけのことはあって、この本自体も、人工知能について何も知らない人でも簡単に学習できるように書かれています。
「学習する」ことはすなわち「分ける」ことであるというのはこれまでも何となく認識してはいたものの、いざ文章として書かれるとハッとしますし、その「分け方」が人によって千差万別だからこそ、同じ知識を入れてもそれを扱うアイデアが異なってくるということにも気付きます。

人工知能は今ブームみたいになっていますが、実際、活版印刷蒸気機関の次に世界を大きく変えてしまうのは、人工知能なんじゃないかと思っています。これまでのITは時間と手間さえかければ人間でもできることをやっていたに過ぎませんが、人工知能は「人間にはできないこと」をやれるようになるわけで。
個人的には早く人間より優秀な人工知能が開発されて、人間は自分より優秀な知能を活用しながら悠々自適に暮らせるようになれば良いなぁと思っています。

なぜ、この人と話をすると楽になるのか

個人的評価:★★★

自分がコミュ障なので読んだ本。ですが、別にこの本は特効薬でもなんでもないので、これを読んだからといって急にしゃべりがうまくなるわけではありません。結局コミュニケーションって経験値が必要なので、装備だけ整えても意味がないのです。
ちなみにコミュ障について、「必要な会話は問題なく行えるが、他愛の無いおしゃべりができないこと」と定義されていて、「あぁそれまさに僕だ」と思いました。でも、そもそもおかしいと思ったこともあって、それは「エレベータで知り合いと出くわした時の会話が無い状態」が普通に「気まずい」とされていたことです。個人的にはこれを気まずいと思ったことは無かったので、そもそも本来そこには不要なおしゃべりがあるべきだという認識すらなかったということになって、もしかしてこれは重度なのかなと思いました。
職場での雑談はすごく大事だと思っているのですが、これはあくまでもお互いの信頼関係の構築や、役に立たなさそうだけど実は後で役に立つかもしれないアイデアの交換のためであって、あんまり「コミュニケーションの目的はコミュニケーションだ」と言われてもピンと来ませんでした。

Tipsとしては、「人は間違いを訂正する時に一番しゃべる生き物→だから間違っているかもしれないこともどんどん喋れ」といったことや、「自分の欠点をツッコミOKにしてしまうことで、戦略的に自分のキャラを作れる」といったあたりが面白かったです。特に後者なんか本当にその通りだよなぁと思います。自分の周りで雑談がうまい人を思い出してみても、基本的にはイジられることを許容している人ばっかりだし。

おわりに

というわけで2015年上半期に読んだ本の感想をざっくりまとめました。
それぞれ数行の感想なので足りない点も多いですが、ひとまずこれにて終わります。
それにしても小説が14冊でビジネス書籍は3冊か、ビジネス書籍の少なさがやばいですね…。

おわり。