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【読書感想文】『レインツリーの国』を読みました

最近新書とかビジネス書みたいな左脳で読む本ばかり主に読んでいて、小説というものをホントに読めていなかったので、
「想像力が足りてない、これはまずい」と思い、新幹線の時間を利用してひさびさに1冊読みました。
せっかくなので感想を書きますが、当然ネタバレ的なものを含みますのでご注意ください。

読んだ本

有川浩さんの『レインツリーの国』です。
解説を読んで知ったのですが、この本って、有川さんの代表作の1つでもある『図書館戦争』シリーズにタイトルだけは出てくる本らしいですね。
図書館戦争はざっくりとした内容しか知らず、僕は個人的には有川さんと言えば最初に思い浮かぶのは『阪急電車』なので、特にタイトルを見てもティンときたりはしないのですが、もし図書館戦争シリーズを読んだ方なら関連するエピソードと照らし合わせて何らかの感想を持つのかもしれません。(当然ですが、図書館戦争知らなくても普通に読めます。)

あらすじとしては、中学生のころにハマっていた本について、大人になってからインターネットで検索してみた男の人と、検索結果として表示された、その本の感想記事を書いていた女の人とのラブストーリーです。
最初はメールだけのやり取りから始まり、その内実際に会ってみることになり、会ってみると、ひょんなことから女の人が実は耳が聞こえにくいということがわかり(最初は隠している)、そういった障害やら何やらが原因でぶつかり合いながらも、2人で頑張っていく、みたいな話です。

感想

内容は上述した通り、思い出の本をきっかけにネット上で出会った男女のラブストーリーで、簡単に説明すれば、「聴覚障害を持った女の人と、健聴者の男の人の恋物語」なのですが、実際に読んでみると、別に聴覚障害にスポットを当てることですごく特別でドラマチックな話に仕立てているというわけではないです。
むしろ、聴覚障害っていうのを、「人間誰しもが1つくらいは持っている何らかのコンプレックス」の代表的な例として描いている印象が強かったかと。

女の人が男の人に対して、「あなたには耳が聞こえない人のことは本当には分からない」みたいな責め方をする時があるんですが、それに対比するような形でやっぱり男の人の側にも、誰にも本当には理解してもらえないコンプレックスがあって、世間で「障害」と呼ばれているものと、そうではない、けれども深い個人的なトラウマとを対比していたのはすごく象徴的でした。

人間はどうしても他人のことを本当の意味で理解することはできなくて、だからお互いに気遣っているつもりでも微妙にズレていて、それでぶつかりあって・・・。
こういうのって実は誰にでもあることで、恋愛においては「身体障害」っていうのも、「あなたと私は違う」を形成する他の色んな要素の1つでしかないんだなぁと。

ただ、聴覚障害を取り上げてストーリーを盛り上げているわけではないですが、聴覚障害そのものについては割とスポットを当てて取り上げていたとも思います。

生まれつき耳が聞こえない人と、小さい頃は聞こえたけど、事故などで聞こえなくなってしまった人との違いとか、伝音性と感音性の違いとか。
特に、「生まれつき耳が聞こえない人」の第一言語が手話で、要するに「頭の中で何かを考えたりする時に使う言語が手話」だというのにはびっくりしました。

あとは手話を習得する難しさかな?
普通に第二言語を習得するみたいなものなので、「耳が聞こえないなら手話を使えばいいじゃない」というような簡単なものじゃないっていうのは、言われてみれば当然なのに、これまであまり考えてきませんでした。
まさに想像力が足りてない。

おわりに

というわけで、久々に小説を読んでみたら面白かったので、2015年は小説も読む年にしようと思います。
目標は年内25冊くらいかな?
思い立ったらまた感想も書きたいですね。


おわり。