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16bit!

エンジニアじゃなくなっちゃった人が何かを書くブログ

【読書感想文】How Google Works を読んだ その4

随分と間が空きましたが、How Google Worksの読書メモその4です。

その1はこちら⇒【読書感想文】How Google Works を読んだ その1 - 16bit!

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)  ―私たちの働き方とマネジメント

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント

※引用と個人的な感想が混合しています。ご注意ください。

事前の収益分析を行わない

それまでジョナサンが働いたことのある会社では、収益分析で良い結果が出てからでなければ、まず新プロダクトにゴーサインは出なかった。(中略)それがグーグルでは(中略)誰も詳細な収益分析をしていなかったのだ。ユーザーにとってすばらしい機能なのは明らかだったので、それを実施するのが正しい経営判断であると誰もが考えたのだ。

その2か3に書いた、「ナレッジグラフ」の話と同様ですが、1番最初に考えることが「ユーザーにとって良いかどうか」であって、「利益が上がるか」は二の次、どころか、誰も考えもしていないという例です。

まぁ基本的には、「ユーザーにとって良い」⇒「ユーザーが増える」⇒「売上アップ」なのですが、製品やサービスを考える時点で利益のことを考えると、結局費用対効果を考えることになってしまって、ずば抜けて良いものというのはなかなか出てこなくなるし、何よりイノベーティブな製品というのはこれまでになかったものなので、そもそも収益分析をすること自体が無理、もしくは難しいです。それなのに、「収益分析でちゃんと利益が出るという確証が得られてないのに、ゴーサインは出せないなぁ」とか言ってると、絶対にイノベーションは起きないですよね。

これまでの投資額にかかわらず、負け組への支援は打ち切る

経営陣の役割は、これまでの投資額にかかわらず勝者を支援し、敗者への支援を打ち切ることだ。

上の話とも関わりますが、事前の収益分析をせずにリリースし、ユーザーの反応やフィードバックを受けながら手直ししていくという手法は、特にWebサービスなどではよくあることですが、これをやっていると、どうしても「リリースしたものの、いまいち伸び悩んでいる」みたいなことが普通に起こります(収益分析してても起こります)。
その際、経営陣やプロダクトリーダーとしては、このままサービスを継続して改善していくのか、それとも撤退するのかといった判断をすることになりますが、この時重要なのは、「それまでの投資額に関係なく」それを判断することです。どんな製品にもそれまでに投資額や従業員の頑張りといったものがあり、それが大きければ大きいほど、撤退したくなくなりますが、これまでに10億投資してようが100億投資してようが、打ち切る判断は公平に行わなくてはいけません。

「テクノロジーはツールに過ぎない」か

どうやら従来型企業は、選択を迫られているようだ。(中略)テクノロジーは変革のツールではなく、単にオペレーションを最適化し、利益を最大化するために使われる世界にとどまるのだ。こうした企業では、テクノロジーは別館に陣取るちょっと変わった連中が取り仕切るキワモノだ。CEOが毎週、議論の中心テーマに挙げるものではない。

企業におけるテクノロジー(特にIT)はこれまで、基本的に既存のオペレーションを最適化するものに過ぎなかったと思います。人事や会計はもちろん、SCMやCRMなどにおいても、ITは戦略の中心ではなかった。アマゾンなどのように、テクノロジーによる他社との差別化を戦略としている企業はほとんどありませんでした。
「ITはツールに過ぎない」ということが良く言われます。やりたいことを実現するためにITを活用するのであって、実現するための最適な方法がITではないなら、ITなんか必要ないというものです。僕も基本的にはこの考えに賛成なのですが、ITは「過ぎない」と言い切ってしまうにはあまりに強力なツールだとも思います。少なくとも、戦略を考える際におまけにして良いようなものではないと。

聞かれて嫌な質問

企業には必ず「聞かれて嫌な質問」があるが、聞かれないままのケースも多い。良い答えがなく、誰もが不安になるからだ。(中略)少なくとも一つメリットがある。一番嫌な質問は、大企業のリスク回避的な、変化に抵抗する傾向を抑えるのに絶大な効果を発揮することがある。

ここでいう嫌な質問とは、決して「売上下がってますが、大丈夫ですか?」みたいなのではなくて、「今はうまくいってますが、将来こんなことが起こったらどうしますか?」というものです。基本的に企業は、というか人は、うまくいってる時には嫌なことを考えたくないし、考えない。
何か一つイノベーションを起こし、それによって今はうまくいっているとしても、近い将来に他社がそれを上回る何かを起こすかもしれない。常にそれを考え、5年後、10年後の世界を想像し、その世界で自社が何をすべきかを考える必要があります。そして、5年後、10年後の世界が今の世界の漸次的な延長線上にあることはほとんどあり得ず、それはおそらく級数的に進歩した世界になっているはずです。

まとめ

読書感想文記事が4本にも分かれてしまいましたが、それだけ色々と自分の中にメモしておきたいことがある本だったということで、おもしろかったです。「計画を立てない」、「独立採算にしない」、「収益分析をしない」など、単純に経営の上での常識はずれな話から、「ユーザーのことだけ考える」、「技術的アイデアから考える」など、プロダクトを考える上での視点、「ラーニングアニマル」や「5年後を考える」など、自分についての考え方など、本当にいろんなことが載っている本だと思います。

また、これまでの小タイトルには出てきませんでしたが、本書には「テクノロジー楽観主義」という言葉が出てきます。まぁ簡単にいうとテクノロジーが世界を良い方向に変えると信じているということなのですが、このフレーズも個人的にかなり好きです。上にも書きましたが、テクノロジー(特にIT)はツールと呼ぶにはあまりに大きな力を持っていると感じていて、「世界をちょっと便利にする」だけのものであるはずがないと思っています。チームラボの猪子さんも確か「デジタルテクノロジーが世界を変えるとほとんどカルト的に信じている」みたいなことを言ってましたが、割と本気で、テクノロジーのことをもっと信じて良いと思います。


ということで長くなりましたが、『How Google Works』の読書感想文おわり。
その1に書いた人工知能の本も読んだので、そっちも感想文書きたいなぁ。