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16bit!

エンジニアじゃなくなっちゃった人が何かを書くブログ

【読書感想文】How Google Works を読んだ その2

How Google Worksの読書メモその2です。
バタバタしててその1からだいぶ間が空いてしまいました。

その1⇒【読書感想文】How Google Works を読んだ その1 - 16bit!
その3⇒まだです。

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)  ―私たちの働き方とマネジメント

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント

※引用と個人的な感想が混合しています。ご注意ください。

プロダクトはユーザーのために

なぜ(テレビのリモコンの)「ミュート」ボタンはあんなに小さいのに、「オンデマンド」ボタンは大きくて、しかも目立つ色になっているのか?それはオンデマンド事業部には達成すべきノルマがある一方、ユーザーがCMをミュートにしても誰の給料も増えないからだ。

2012年に開始した「ナレッジグラフ」は、検索した人物、場所、物事に関する情報をアルゴリズムによって簡潔にまとめ、検索結果ページの右上に表示する機能だ。(中略)ほとんどの検索語の場合、これまで広告が表示されていた場所に、代わりにナレッジグラフが入ることになった。これはグーグルの収益に多少マイナスの影響を与えた。

1つ目の引用が利益を中心に考えた一般的(?)なプロダクトデザイン、2つ目の引用がGoogleのプロダクトデザインについての具体例です。
「ユーザー(お客様)のことを第一に考える」と言葉でいうのは簡単ですが、その機能をリリースすれば収益が下がることがほぼ確実であってもユーザーにとって便利な機能をリリースするという、こんなことを実際にやれる企業はほとんどないんじゃないかと思います。
しかもこれは別にボランティアであっているわけではなくて、たとえ一時的に利益が下がっても、ユーザー第一でプロダクトを作り続けていれば、必ず後からペイすると確信していることがすごい。
「すごいサービスでしょ!しかも無料だよ!1円も儲けないよ!」ではないんですよね。

「必要不可欠な人間」を作らない

誰かが自分は会社の成功に書かせない存在なので、1〜2週間も休暇を取ったらとんでもないことになる、と思っているなら、かなり深刻な問題があるサインだ。必要不可欠な人間などいるべきではないし、またそんなことはあり得ない。

これって本当にそうで、仕事でものすごく重要なポジションをやっている人が1週間休んだところで意外とまわるし、そのために企業という組織はある。
逆に本当にある人が抜けるだけでチームがまわらなくなるとしたら、それはすごく不健全な組織だと思う。
レアルマドリードロナウドが抜けてもレアルの試合ができるし、バルセロナからメッシが抜けてもバルサの試合ができる(もちろん多少レベルは下がるが)。
これが健全な組織だと思う。
逆にスアレスが抜けて全然点が取れなくなったリバプールはきっと健全な組織ではなかったんだと思う。

「必要不可欠な人間」になることが雇用の安定につながるといった謝った認識のために、わざとそういう状況を作り出そうとする人もいる。

これも個人的には本当に逆だと思っていて、変な話、「自分にしかできないこと」を増やせば増やすほど、自分は新しいことができなくなって、いつまでもその仕事しかできないしやらせてもらえないので、いつか誰かがその仕事をやれるようになったり、その仕事自体が不要になったりしたら、自分にしかできないことはなくなり、さらに自分には他には何もできないので、むしろ要らない人間になってしまう。
自分の価値を高めたければ、自分ができるようになったことはさっさと他の人にもできるようにしてしまって引き継ぎ、自分は次のことをやった方が良いと思う。
その方が組織も個人もハッピーになる。

技術的アイデアに賭ける

たいていの企業ではプロダクト計画を立てるのはプロダクト・リーダーだが、彼らの立てる計画には最も重要な要素が欠けていることが多い。それは、新たな機能、プロダクト、あるいはプラットフォームの出発点となる技術的アイデアは何か、である。

正直、この発想でプロダクト計画を立てている企業はほとんどないんじゃないかと思います。
たいていの企業の発想は、「問題があって、それを解決するために技術がある」なので、技術を始点に戦略を立てることはあまりない。

ただ、これも(Googleの成功の影響なのか)最近は変わってきていて、
「自社には○○の領域における優れた技術があるが、これを活かしたプロダクト計画とは何だろう?」という考え方をする企業も増えてきているとのこと。
確かに技術を起点にしたプロダクトは、他社が容易に真似できないものになるので、成功すればしばらくブルーオーシャンでいられるという大きな利点がありますからね。

ロナルド・コースの考え

ベンダーを探し、条件交渉をし、きちんと業務が遂行されるように監視するコストは高いため、企業にとって業務を外部に任せるより、内製化したほうが合理的な場合が多い。(中略)「企業は、社内で新たな取引を組織するコストが、同じ取引を自由市場での交換のかたちで実行する場合のコスト、あるいは別の会社との間で組織するコストと一致するまで拡大する」

インターネットによって取引コストが劇的に低下したため、コースの法則は逆から読んだ方が良くなった。(中略)企業は社内で取引をするコストが、社外と取引するコストを超えないようになるまで規模を縮小すべきだ。

単純な費用対効果の話なのですが、この考えはわかりやすくてとても良いなと思います。
ただ、これは不採算部門を廃止して、より安いところにアウトソーシングしてコストを抑えよう、というのが本来の目的ではなく、「自社でこんなことをしたい、そのためには○○をするための組織が必要だ」が出発点なので、そこを間違えるとただのコストカット、規模の縮小だけになってしまう。
本当の利点は、インターネットによって「餅は餅屋」が安価に実現できるようになったことなので、本来は規模の縮小によるコストカットという守りの戦略ではなく、専門企業とのコラボレーションという攻めの戦略であるべきです。

ライバル企業に追随しない

「ぼくの重要な仕事は、社員にライバル企業のことを考えさせないようにすることだ。一般的に、人は既にあるモノのことを考えがちだ。ぼくらの仕事は、まだ考えてみたことも無いけれど、本当に必要なものを思いつくことだ。ライバルがそれを知っていたとしても、当然ぼくらには教えてくれないからね」

ライバル企業の方を見ていても良いものはできないというのはその通りで、結局はただ表面的にコピーしたものを(しかも後追いで)出すことになってしまう。
如何にライバルのことを模倣せず、自分たちでものを考えられるかが、プロダクトを開発する上では重要です。

ちょっと話がずれますが、古川日出男という作家さんの「聖家族」という小説があるのですが、その作品がライバル視したのは「サグラダ・ファミリア」だそうです。
ちょっとよく意味がわかりませんが、すぐ隣にいる競合企業をライバル視するのではなく、全く関係なさそうなものをライバル視するというのはありかもしれません。
これがマイケル・ポーターの5つの力*1とは異なる発想なのか、それとも「代替品」のところにサグラダ・ファミリアが入るのかは分かりませんが、少なくとも表面的なコピーはできないので、本質を考えるしかないという意味では、1つ面白い思考法だなと思います。

人材の採用が最も重要な仕事

大企業の幹部に、「あなたの仕事のうち、一番重要なものは?」と尋ねると、ほとんどの人が反射的に「会議に出ること」と答えるはずだ。(中略)同じ質問を一流のスポーツチームのコーチやゼネラルマネージャーにしたらどうだろう?(中略)「最高のプレイヤーをドラフトで獲得するか、スカウトするか、あるいはトレードで持ってくること」と答えるだろう。

「採用が最も重要な仕事」だとか「人材が最も重要な資産」という言葉はいろんな企業で言われていますが、それが本当に文化や仕組みとして実現できている企業はほとんど無いように思われます。
僕も今働いている会社で、プロダクト開発の合間を縫って一度だけ採用プロセスに関わったことがあったのですが、その採用活動の部分って、業務の成果としてはほとんど認められない。
僕の場合は別に採用活動の成果を評価してもらいたいとは思っていなかったのでモチベーションとしても特に問題はなかったのですが、
本当に採用が最も重要な仕事なら、採用に関わる活動をちゃんと評価する仕組みが必要なのではないかと感じました。

ラーニング・アニマル

大切なのは優秀な人が「何を知っているか」ではなく、「これから何を学ぶか」だ。

書いてあることはすごくシンプルで、要するに学び続けることのできる人間は変化に対応できるし、むしろ変化を楽しもうとするので、変化が激しい時代においては貴重な人材である、ということなんですが、単純に「ラーニング・アニマル」っていう言葉がキャッチーで良いなと思ったのでメモしておきます。
これは「Aという仕事があるので、Aの経験がある人をアサインしよう」という組織のマネジメントが間違いであることを表しているし、「自分はBの経験があるから、Bをやるところで働こう」という個人の選択が間違いであることも表している。
自分が自分の経験と既存の知識で生きて行こうという判断をしそうになったら、この単語を思い出そうと思います。



その2はここまで。
だいたい全体の半分くらいなので、その4くらいまで書くことありそうです・・・。

一旦終わり。